2018/10/30第4回関東ゼミ事例発表会終了

第4回関東ゼミ事例発表の会が無事終了しました。

今回は6名の発表者がご登壇

①パッシブで“ちょっとカッコイイ”中下条の家・・・(有)伊東工務店 伊東誠三さん

トップバッターは関東ゼミの初期から参加いただいている大御所、(有)伊東工務店の伊東誠三さん。

床下エアコンの家でお施主様から電気代が異常に高いと連絡を受け行ってみたら使用方法がまちがっていたというか、設定温度が高すぎで、しかるべき温度にしたら電気代も通常になったと。

確かに普通の家の感覚でエアコンの設定をしてしまうと性能の良い家だと暖かくなりすぎて余分なエネルギーを使ってしまう恐れもありますので、その辺のトコはしっかり入念に説明しておかないといけないですよね。

 

 

卓越風やグーグルスケッチアップもしっかり提案。

お施主様への自立研オリジナル、温熱環境のヒヤリングシートもしっかり活用されていました。

②狭小住宅とパッシブ冷暖とetc・・・(株)参創ハウテック 尾崎誠一さん

2番手は(株)参創ハウテックの尾崎誠一さん。

築40年の超寒い家に住んでいて、念願のマイホームを建てたのでそれの実測。

同社が販売するパッシブ冷暖という床下エアコンのシステムを導入しました。

①の伊東さんも実は同じもの。

シミュレーション数値と実測とほぼ同じような結果が得られたし、推奨の設定温度だと少し物足りないので夏も冬も更に快適な温度設定にしてシミュレーションしてもやはり同じような実測結果だったと。

 

更に、ネットで買ったという自然循環式太陽熱給湯をうまく使いシミュレーション値の半分くらいのエネルギーで省エネを実現。

興味深いことは風呂リモコンが給湯と追い炊きの使用量を分けて教えてくれるので、ガス使用量の総量からこれらを引くと調理の使用量までが分かるんです。

意外とこの調理のエネルギー量ってどれくらいか実際分からない人がほとんどですが、尾崎家では調理:給湯:追い炊きが3:5:2だったと。

これは凄い発見です!

おおよその家庭も多分調理に3割くらい使っているのではないでしょうか。

 

③換気と湿度、換気とCO2濃度についてザックリと・・・松島匠建(株) 松島克幸さん

3番手は松島匠建(株)の松島克幸さん。

換気の要素が入った今までにない角度からの発表。

換気による湿度流入出が住環境を不快にすることはわかっちゃーいるものの、だからと言って換気をしないとこれまた健康を害する。

そんな悩みを解消すべくご自宅兼モデルハウスで実験されました。

2年がかりの壮大なプロジェクトは2016年に浴室換気扇第三種(80㎥/h)24時間つけっぱなしのみ。換気回数にして0.19回/hと検査機関が知ったら大ごとになりそうな換気回数です^^

ま、そもそも0.5回も多過ぎですからね。そして2017年の2年目は前年の浴室+ダクトレス式全熱交換を2台合わせて80㎥/h。

さてさて、この状況下で湿度とCO2濃度はどうなったか?

超興味深い結果となりました。

でも、これは参加者だけの特典♪

知りたい方は是非来年から関東ゼミ来てくださいw

④曳舟の家~温熱シミュレーションと暮らしの実測~・・・(株)中島工務店 中島創造さん

4番手は昨年急病のため急きょ発表できなかった(株)中島工務店 中島創造さん。

昨年の自立循環型住宅研究会フォーラムで発表されて厳しめのツッコミが入って、そこらから自分で外皮や様々なシミュレーションをする必要性を痛感してナント自腹でホームズ君を買って出来るようになりました。

スケッチアップも駆使しながら日射取得も勘案されたプランです。

実はこの辺りもフォーラムで指摘され、しっかり考慮することにもなりましたし、ご自身は大変だったようですが、その分、大きな大きな財産を得たわけですからそれはそれで良かったですよね。

⑤失注から学んだ奥様への性能の伝え方・・・(株)斎藤建設 斎藤賢一さん

タイトルが非常に刺激的な5番手の(株)斎藤建設斎藤賢一さん。

温熱の話に終始してたら奥様がだんだん不機嫌になっていってしまって、これはまずい!ということから光熱費のシミュレーションをやり、その辺から”つかみ”ながらジワジワと実務の話をしていくように変えたと。

これも性能住宅アルアルですが、シミュレーションと実際の光熱費だと確実に実際の方が安くなります。

ナノデ、余計にお施主様には喜ばれますよね。

冬の測定結果がうまく拾えなかったこともあり来年再度深堀してもらうようにお願いをしました。

自立研ぽくないはっ用ですみませんっておっしゃってましたが、全然問題ありません^^

色んな視点からの色んな意見があって初めておもしろいし、それが関東ゼミ醍醐味なんですからね。

 

⑥西丸尾の家・・・天野保建築 天野洋平さん

トリを飾るのは天野保建築の天野洋平さん。

昨年のエコハウス大賞マズ・イゾベール賞受賞物件の考察。

当初のプランでエネルギーパスで外皮計算して年間冷暖房負荷もみたところ43.1kwh/㎡Kで少し負荷が大きいと見るや、南面開口を更に増やして30.2kwh/㎡Kにまでしました。

更に同ソフト機能のエアコン能力算定をして55坪の家を10畳用エアコン1台という大胆な選定で果たして結果は?

1F、2F、廊下とも冬20℃前後で問題無し。湿度は30%台とやや低め。

夏も27℃前後で全くの問題無し。湿度に関しても50~60%推移なので快適ゾーンど真ん中ですね。

ボーナス発表・・・ささ木暮らし設計 佐々木努さん

自邸のエネルギー消費量をエアコン間欠時と全運転時で比較結果を出していただきました。

来年は更につっこんだ実験をしてみたいと。

6者6様の発表はとても素晴らしい内容で年々レベルアップしているのが凄かったです。

とにかく、設計した家に対して起こりうるであろう仮説と実測してその仮説がどうだったか?

改善点はあるのかないのか?

そんなことを日々意識してやっていけば自ずとどんどん実力が上がって、その経験値がお施主様への信頼へと繋がるのでこの作業はプロとして絶対に必要なことだと思います。

発表者の方々にはお忙しい中、本当に感謝申し上げます。

お楽しみ懇親会はニッポン一早い忘年会となりました。

もちろん、相変わらずの出席率の高さとテンションの高さで大盛り上がりのヒトトキとなりました。

来年の関東ゼミも何卒宜しくお願い申し上げます(__)